正しい相見積りの取り方

                




    

これは、あるお客様が新築の際、実際に相見積りをとられた結果です。
同じ間取り、同じ断熱、同じ設備仕様、すべて同じ内容で見積った結果の金額差が488万円でした。
もし、相見積りをしなかったら同じ建物を488万円も高く買ってしまっていたかもしれないのです。
488万円もあればもっとキッチンのグレードを上げられたかもしれない、もっと庭にウッドデッキや植栽に
お金をかけられたかもしれない、もっと理想の暮らしに近づけたかもしれない・・・。

住宅はオーダーメイド商品なので比較検討が難しく、適正価格かどうかを知る為には
正しい方法で相見積りをとるしかないのです。



では、あなたはどんな方法で相見積りをとればよいのでしょうか?
仮に、新築住宅で土地が決まっているケースで考えてみましょう。
(本当は土地探しから信頼できる建築業者と行う方が良いと思います。)
まずは、
1)要望を伝える。
  家族構成、子供部屋は何室、寝室にウォークインクローゼット、家事室がほしい
  リビングは○○帖くらい、だいたい○○坪くらいの家がいい etc...

広さや内観のイメージ写真などで理想のデザインや暮らし方を伝えます。

2)予算を伝える。
建物の希望予算を伝えます。
実際には綿密な資金計画を行って建築予算を出すべきですが、
まずは信頼できる建築会社を選ぶ事が重要なので、ここでは「これぐらい」でOKなので
希望予算を伝えましょう。

ここまでは一般の方でもやってみえるのではないでしょうか?
次からが重要なポイントです。

3)同じ性能で比較する。
あなたは、あなたの家づくりにおいてどのレベルの性能を求めていますか?
車を買う時、リッター何キロ走るのか?燃費は気にしますよね?
牛肉を買う時、A4等級と表示があるから「高くてもいいか」と信頼して買物ができる。

では、住宅の性能は確認していますか?
「高気密・高断熱」って書いてあるから大丈夫だろ?と思っていませんか?
いいえ、そもそも「高気密・高断熱」という表示にはなんの根拠もありません。
住宅会社が勝手に言っているだけ、自称「高気密・高断熱」ということです。

じゃあ何を根拠に住宅の性能を確認すればいいのか?
住宅の性能で最も重要視すべきポイントは大きく2つあります。

  ①耐震性能→安全性・資産価値
耐震性能は新築ならどこで建てても大丈夫だろ?と考えてみえる方が多いように思いますが、
高山のような積雪地域に関しては耐震性能は非常に重要です。
なぜなら、屋根の上に雪が積もった状態での耐震性を考慮している建築会社が少ないからです。
熊本地震でも直下率の悪い築5年程度の住宅が倒壊していました。
屋根に雪が乗った状況で高山に直下型の地震がきたら、新築でも倒壊する住宅の数は
熊本地震を大きく上回ると予想できます。
そうならない為に、相見積りの際につける耐震性能の条件は
  耐震等級2以上→長期優良住宅を取得する
耐震等級は1~3までレベルがあり、耐震等級3が最高等級になります。
ここで重要なのは、耐震等級2以上は積雪を考慮した設計をしなければならないということです。
そして、長期優良住宅は耐震等級2以上じゃないと取得できないという事です。

  ②断熱性能→快適性・省エネ・資産価値
断熱性能は夏も冬も、快適で健康に暮らすうえで非常に重要です。
かつ、冷暖房の光熱費の省エネに直結するため、断熱性能が高い家は年間の支出を抑えてくれます。
ここで、相見積りの際につける断熱性能の条件は
  ZEH住宅で補助金125万円!
まず、ZEH(ゼッチ)住宅というのはNet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略。
住まいの断熱性・省エネ性能を上げ、太陽光発電などで創エネすることで、年間の一次消費エネルギー量
(冷暖房・給湯・照明・換気)の収支をプラスマイナス0(ゼロ)にする住宅を指します。
国はこのZEH住宅を2020年には新築住宅の過半数にすべく目標をかかげ、H28年度にはこのZEH住宅に
対して125万円の補助金交付を行い、おそらくこの制度はH29年度以降多少交付要件は変更されるかも
しれませんが、2020年頃まで継続される制度であると予測されます。
ここで少し知識のある方は「なぜ断熱性能の条件はZEH住宅なの?長期優良住宅だけではダメなの?」
と思われるかもしれません。確かに長期優良住宅を取得する為の項目には「断熱等級4」という基準が
あります。しかし、断熱等級4は最高等級ではあるが性能値として低すぎると思います。
現に今建っている新築住宅で断熱等級4以下の性能の家は安い建売住宅でもあまり見かけないと思います。
断熱性能はここ10年くらいで急激に性能値を上げています。(それでも世界基準では低い方です。)
ですので、どうせ高い断熱性能の家を考えているならZEH住宅で補助金をねらうことをお勧めします。

最後に、相見積りをとるうえで肝となる条件です。
「長期優良住宅とZEH住宅の補助金に申請する仕様で見積りしてください」
「当り前じゃない」と思われるかもしれませんが、
なぜ長期優良住宅なのか?「耐震等級2以上の仕様で見積りしてください」ではなぜダメなのか?
これには過去の苦い経験があるのですが、簡単に言ってしまえば、あなた(素人)には本当に耐震等級2の仕様で
見積りをしたかチェックすることができないからです。
もしかしたら、建築会社が仕事取りたさに嘘の仕様で見積りをしているかもしれない。もっとたちが悪いのは
そもそも知識や技術力もないのに口だけでうまく言って契約してしまう。
そんなかわいそうな顧客を増やさない為にはいわゆる国のお墨付きを得ることが
だまされない為に一番有効な手段なのでは?」という結論に達した次第です。
長期優良住宅やZEH住宅の取得には高い知識と技術力が必要です。(弊社はどちらも経験有です)
そもそも打合せの段階で「ZEH住宅って何?」となるような業者は知識不足です。
相見積り候補から外しましょう。

最終的には上記の条件をもとに3社くらいからプランと概算見積りを出してもらい、その結果から家づくりを
進めていくパートナー(建築会社)を決めます。
一番安い会社を選ぶのか、デザインや打合せで感じるセンスで選ぶのかはあなた次第です。
なかには、「長期優良住宅やZEH住宅は建築費が高く、予算的にわたしの場合はちょっと・・・。」と思われる方が
いるかもしれませんが、まずは相見積りは上記の条件で行い、建築会社を決定してから予算調整を行った方が
良いと思います。手間はかかるかもしれませんが、まずは信頼できるプロを探して下さい。
家は人がつくるものなのですから。